明るい夕方に散歩をかねて日用品を買いに出かけ、歩いていくと、カランコロンカラコロンカラコロカラコロカラカラコロコロ・・・という音が辺りに響き渡り、行きは何の音かわからないまま通り過ぎた。
風鈴かなと思ったが、チリンチリン・・・という澄んだ可憐な音のイメージと違う。
下駄をはいた子どもの缶蹴りみたいな音だ。
近くでは道路工事も行われているところだったが、それでもかき消されないほど、朗々とした音だった。
光の中に緑がわんさかと揺れ、すばらしい午後の散歩道だ。
帰りに、音の出どころが分かった。
団地の3階くらいの高さにある一室のベランダに、踊り狂わんばかりの大きなガラスの風鈴ふたつ。
ベランダの手すりには、びくともしない白い鳥(の置物)が乗っている。
風鈴も鳥も新しそうではなかったが、この音を聞いたのは初めてだったと思う。
近頃は風の強い日が多く、散歩をすると、小学校の国語の教科書に「風の強い日」という話があったことを思い出す。
すぐに通り過ぎることは分かっているような、ちょっとした嵐のような逆境に見舞われた少年の話だったと思う。
もう一度読んでみたくなり調べると、作者は山下明生さんで『かいぞくオネション』という本に収録されている。図書館に予約した。